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2021
04/26
電気防食の基礎知識
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電気防食の原理

電気防食の原理

全従業員で話し合いをしている様子

 この記事では電気防食の基礎となる原理についてご紹介します。塗装のように、対象の鋼材を被覆することで酸素と水を遮断する一般的な防錆方法とは原理が異なり、使用環境によっては対象の鋼材を100%防錆することのできる技術です。



電位差とは?


 電気防食を原理から理解するためには、それぞれの金属が持っている「電位」という存在について理解する必要があります。例えば、下の図のように、異なる金属同士を接続して、水や海水などの電解質中に浸漬すると「電位差」から電流が流れます。このとき、相手の金属よりも電位が低い金属(Zn)は消耗し、電位が高い金属(Fe)は防錆されます。このとき、ZnからFeに対して電子が供給され、両者の間には電流が流れます。FeはZnから電子を受け取ることで、還元作用が働き、錆びることはありませんが、Znは身代わりとなって徐々に溶けていきます。この現象を利用した防錆方法を電気防食と呼び、Znのように身代わりとなって消耗する金属を「犠牲陽極」と呼んでいます。


そもそも電位とは?


 電位とは電子の位置エネルギーのようなもので、電位が低い金属ほど電子のエネルギーが高く、電解質中で電位が高い金属に接続すると、犠牲陽極として働きます。


消防署から講師を招き、心肺停止者の蘇生方法や負傷者の措置方法の講習を受けている様子です

「犠牲陽極」として働く金属とは?


 犠牲陽極となる金属と、守られる側の金属との間には電位差が関係していることが前述でわかりました。では、どの金属に対してどの金属が「犠牲陽極」として働くのか…?これを理解するためには「イオン化傾向」を理解する必要があります。下の図から右側の金属ほど電位が高い(エネルギーが低い)金属であり、左側にある金属ほど電位が低い(エネルギーが高い)金属だとわかります。アルミ(Al)は鉄(Fe)よりも左側に位置するため、鉄よりも電位が低く、鉄よりもイオン化しやすい(溶けやすい)金属であることがわかります。このように、「イオン化傾向」は、金属の溶けやすさ、イオン化しやすさを表しています。そのため、アルミも亜鉛と同様、鉄よりも左側に位置するため、海水中で鉄と接続してやると、自分自身は溶けて鉄を防錆し、犠牲陽極として働くことがわかります。


矢野所長の表彰を受けている様子です

電気防食の応用


 このように防錆したい金属に対して、より電位の低い(よりマイナス)金属を取付け、金属間の電位差を利用した防錆方法を「流電陽極方式」と呼び、一般的に「電気防食」と呼ばれています。

 代表的な事例として、下の図のような海水中に建造された鋼構造物を防錆する手段として広く利用されています。

表彰を受けている深津主任の様子です

電気防食法の種類


 電気防食法を詳しく分類すると、大きく「陰極防食法」と「陽極防食法」の2つに分類され、通常、「電気防食」と言えば、陰極防食法のみを指します。さらに陰極防食は「流電陽極方式」と「外部電源方式」の2つに分類されます。外部電源方式は、現場に電源を設置し、防錆対象に直接電流を供給することで防錆する方法です。電源設備を要するため、管理や電力費などの維持費を要します。一方の流電陽極方式は、防錆対象に犠牲陽極を取り付けるだけなので、基本的には初期費用だけで済み、陽極が溶けてなくなるまでは維持費が不要です。